予防医療
病気の予防
知っておきたい予防獣医学
獣医学は医学の考え方と同様に治療獣医学と予防獣医学があります。予防獣医学は飼育者の意識に委ねられる部分が大きな割合を占めます。全ての飼育者は愛犬・愛猫の一生を請け負ったわけで、ぜひ予防獣医学の分類を知っていただき、常に意識しいつまでも共に健康に暮らしていただきたいです。
予防獣医学の分類
★ 第一次予防
健康増進 生活習慣の改善(運動、食事など)、生活環境の改善など
疾病予防 予防接種(狂犬病ワクチン、混合ワクチン)、フィラリア予防、ノミダニ予防など
特殊予防 事故防止(ノーリードでの散歩をしない、落下転落防止など)、誤食の防止など
★ 第二次予防
早期発見・早期治療 健康診断などにより早期発見し早期に適切な治療を実施
適切な治療と合併症対策 適切な治療などにより合併症を最小限にする
★ 第三次予防
リハビリテーション 機能回復を図る、再発を予防するなど
★これからの予防医学・予防獣医学
医療分野では、禁じられていた医療機関におけるサプリメント等の販売を認めるように2014年に閣議決定され、厚生労働省から規制改革実施計画が示され、現在すでに販売が行われるようになりました。この変化からも健康とサプリメントは不可分の関係にあることがわかり、これからの予防医学の中心にサプリメントが位置している事がわかります。
当院では、いち早く動物用免疫サプリメントの開発に関わり、健康の維持に応用しております。また免疫サプリメント以外の様々なサプリメントも状況に応じて使用しておりますのでご興味のある方はぜひご相談ください。
フィラリア症の予防
フィラリア症予防薬の種類
フィラリア症の予防方法の主体は1か月に1回飲ませるタイプもしくは食べさせるタイプのものです。
飲ませることができなかったり食べてくれない場合には、首筋や背中に垂らすスポットオンタイプや注射する方法もあります。
フィラリアの感染について
フィラリアは蚊の吸血により感染します。
蚊はフィラリアに感染した犬の血を吸う際に感染犬の血中に無数にわいているフィラリアの第1期子虫も一緒に吸います。
蚊の体内でフィラリアは成長し、第2期、第3期へと成長すると犬への感染が可能となります。
この子虫を持つ蚊に血を吸われる時に、血が集まりやすく(充血させる)長い時間血が固まらず(抗凝固)吸い続けることができるように蚊は色々な成分の混ざった液を注入するのですが、その中に第3期子虫も紛れ込みます。
犬の体内に入ったフィラリアの第3期子虫は犬の体内を移動しながら約1週間で第4期子虫へと成長し、50日から90日で第5期(成虫)へと成長をします。その後肺動脈へと移動し完全な成虫の長さまでに成長をとげます。
フィラリア予防薬で殺滅することができるのは第3期及び第4期の子虫です。また、感染犬の体内に無数にいる第1期子虫も殺滅できますが、その場合には無数の子虫がいちどきに死滅するためにショック症状を示し、場合によっては命を落とす結果となります。
そのため感染犬で子虫がわいている犬には予防薬は非常に危険となります。
フィラリア予防期間について
フィラリアの予防期間は地域により多少異なってきます。
狭山市周辺は5月末から11月末まで月1回投与すれば十分の余裕をもって予防可能です。(ただし今後地球温暖化の影響から期間が延びる可能性があります)。
その根拠についてを以下に示します。
ある地域においてフィラリア感染が可能になる日にち、感染終了となる日にちはHDU(heartworm Development heat Unit)の概念により算出されます。
この数値を加算し、その積み重ねが130となる日が感染開始日になります。(ただし数値がマイナスになる場合は0とする)
また感染終了日は30日間でのHDU合計が130となる最終日とされます。
最近ある動物薬の会社が、日本全国の主要都市における過去五年間の内、最も早い感染開始日と最も遅い感染終了日を調べ、発表してくれました。
九州の鹿児島、宮崎では感染開始が4月末と最も早く、この2県以外は5月以降となっています。
埼玉県は、熊谷のデータが紹介されており、過去五年間で最も早い感染開始日が5月14日、最も遅い感染開始日が5月27日、最も早い感染終了日が10月17日、最も遅い感染終了日が11月5日となっています。
初回として感染開始から1ヶ月以内に投薬を開始し、感染終了後に1回最終投与すれば完全な予防が出来ます。
九州の各県でさえも5月末から11月末の投薬でカバーされます。
狭山市消防本部のホームページの気象データのページに平成14年から日平均気温が出ていますので興味のある方は計算してみてください。