デンタルケア
こんな症状ありませんか?
口を気にする
よだれが多い
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歯が汚れている
口を触らせない
くしゃみ・鼻水が出る
歯が抜けた
噛んだおもちゃに血がついていた
顔が腫れた
どれか一つでも当てはまったら、歯のトラブルかもしれません。
気になることがあればいつでも当院にご相談ください。
歯垢(プラーク)・歯石
歯垢(プラーク):普通に生活していて歯の表面に付着する、黄白色で粘着性の高い物質がプラークです。これは虫歯菌や歯周病菌をはじめとする微生物の塊であり、プラーク1mg中には数億以上の細菌が含まれています。プラークの表面にはバイオフィルムというバリアが形成され、プラーク内部の細菌は抗生剤や消毒剤から守られています。そのため、プラークに対しては、歯磨きによる物理的な除去が唯一、最も効果的な対策です。
歯石:プラークが唾液に含まれる成分と反応し、石灰化したものが歯石です。歯磨きで除去されなかったプラークは3-5日で石灰化して歯石になります。歯石はさらなるプラークが付着する温床になり、悪循環的に歯の環境を悪化させていきます。歯石になると、もはや日常的な歯磨きでは除去できず、全身麻酔で超音波を用いたスケーリングを行い、歯石を砕いて除去する必要があります。
歯周病(歯肉炎、歯周炎)
歯周病は歯周病菌(ジンジバリス菌、グラエ菌など)によって起こされる口腔内の炎症の総称で、大きく「歯肉炎」と「歯周炎」という2つの病気に分けられます。
歯肉炎:歯と歯茎の隙間にプラークや歯石が付着することで、歯茎(歯肉)が炎症を起こしてしまう病気です。ほとんどの場合、スケーリングによる治療で治るといわれています。
歯周炎:歯肉炎が進行し、炎症が歯を支える歯周組織にまで及ぶことで、歯槽骨という歯が埋まっている骨が溶けてしまう病気です。歯槽骨が溶けていくと顎の骨が折れたり、口腔内細菌が血液中に入り込んで敗血症という重篤な疾患に移行したりすることもあります。歯肉炎と違い、歯周炎に至ると治療による完治は極めて難しく、重度の場合には抜歯処置が適応となります。
人では歯周病により動脈硬化や脳卒中、心臓病、糖尿病、腎臓病、関節リウマチ、肺炎などの呼吸器疾患、低体重児出産などのリスクが上昇すると考えられています。
一方、犬や猫でも歯周病は心臓病、腎臓病、肝臓病との関連が報告されています。
齲歯(う歯、虫歯)
齲歯は虫歯菌(ミュータンス菌など)が作り出す乳酸によって、歯が溶けてしまう病気です。
虫歯菌は食事中の糖分を乳酸に変えて、歯の表面を覆っているエナメル質を溶かします。表層のエナメル質が溶かされ、内部の象牙質や歯髄(歯の神経)が露出すると痛みを生じます。
犬や猫は虫歯になりにくく、歯周病になりやすい
虫歯は人にとって非常に身近な病気ですが、実は犬や猫で虫歯の発生は極端に少ないです。
その理由は口内環境の違いです。
人の唾液がpH6.8前後の弱酸性なのに対して、犬の唾液はpH8-9、猫の唾液はpH7-8とともにアルカリ性です。
虫歯菌は酸性の口内環境を好むため、犬猫の口腔内では活動しにくいと言われています。
また、人と違い、犬や猫は唾液中にアミラーゼという酵素を持ちません。
アミラーゼはでんぷんを糖分に分解する働きがあるため、唾液中にアミラーゼを持たない犬猫の口腔内には、必然的に虫歯菌の餌となる糖分が少なくなっています。
つまり、犬猫の口内環境は基本的に虫歯になりにくくなっているのです。
しかし、砂糖を多く含むお菓子を日常的に与えていると犬猫でも虫歯になる事がありますので注意が必要です。
一方、人と比較して、犬や猫はとても歯周病になりやすい動物です。
酸性の口内環境を好む虫歯菌と異なり、歯周病菌はアルカリ性の口内環境を好みます。
上記の通り、犬猫の口腔内はアルカリ性なので歯周病菌が活動しやすくなっています。
また、アルカリ性の口内環境ではプラークが歯石に変化するのも早い事が分かっています。
つまり、犬猫の口内環境は非常に歯周病になりやすくなっているのです。
3歳以上の犬猫の実に8割以上が多かれ少なかれ歯周病を患っていると言われています。
歯周病の予防には毎日の歯磨きと定期的なスケーリングが効果的です。
1年に1回のスケーリングが死亡リスクを下げる!?
人では3か月に1回程度のスケーリングを行うことが一般的とされていますが、動物の場合はどうなのでしょうか?
犬や猫のスケーリングは人と違い、基本的に全身麻酔が必要です。その理由は、「少なからず痛み、恐怖があるので、処置中に動いてしまい危険」「長時間押さえつけられることが負担になる」などです。
つまり、犬猫のスケーリングはメリットと全身麻酔のリスクを天秤にかけて実施するか否かを検討する必要があります。
そこでヒントになる研究結果がJournal of American Animal Hospital Association 2019年5、6月号で報告されました。
この研究ではアメリカの犬237万頭を調査して、体格や犬種、体重、避妊去勢の有無ならびに動物病院への来院頻度、全身麻酔下でのスケーリングの頻度と寿命との関連性を検討しています。その結果以下の知見が得られました。
・体格は小さいほど寿命が長い
・雑種犬の寿命は純血犬の寿命より長い
・避妊しているメス、去勢しているオスはそうでない犬よりも寿命が長い
・年1回のスケーリングは死亡リスクを18.3%低下させる
つまり、「1年に1回全身麻酔をかけてスケーリングを行った犬の方が、そうでなかった犬に比べ長生きする」ということが分かったのです。
当院では、麻酔リスクが高くなければ、1年に1回全身麻酔でのスケーリングを推奨しています。
麻酔リスクの評価を含め、ご心配事があればお気軽にご相談ください。