2017-12-23
広島大学の石原助教らのグループが、マウスにおいてドコサヘキサエン酸(DHA)を摂取すると脳内でエストラジオールの合成が活性化され、てんかんに伴うけいれん発作が抑制されることを明らかにしました。
石原助教らは、マウスの餌にDHAを混ぜて摂取させると、脳内のエストラジオール量が増加することを明らかにし、てんかんに伴うけいれんの発症が大きく抑制されたことを確認しました。
また、脳内のエストラジオール合成を薬物で阻害すると、けいれんが悪化することも確認しました。
これらの結果から、DHAの摂取は脳内エストラジオール合成を活性化し、てんかん発作を予防していると考えられます。
本研究は、DHAの新しい脳内作用メカニズムを明らかにし、てんかん発作予防のための薬物や食事療法の開発につながることが期待されます。
また、エストラジオールは脳内で記憶・学習の亢進、神経保護作用を発揮する事がすでに報告されており、DHAの他の作用メカニズム解明の糸口となる可能性があります。
石原助教は、脳内のエストラジオールは神経回路網の形成等にはたらく多機能性の分子であることから、DHAの抗けいれん作用以外の作用もエストラジオールで説明できるのではないかと期待しているとコメントしています。
マウスで確認された事柄はおそらく人でも同様であろうと考えられることが一般的であり、それは犬や猫でも当てはまると考えられています。
我々は早期に犬、猫においてもDHAの抗けいれん作用が確認される事を望みます。
しかし今てんかんに苦しむ犬、猫には確認されることを待たずにDHAを与えてあげることは悪いことではないと考えます。
副作用が起こる可能性のある薬品などではなく、様々な面で健康によいサプリメントのDHAが発作をも抑える可能性を秘めているからです。