猫の尿道閉塞(尿閉)について

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冬の風物詩は色々ありますが、動物病院で冬の風物詩といえば雄猫の尿道閉塞(尿閉)です。

 

尿閉とは結石や栓子(細胞や炎症産物が塊になった物)などにより尿道が詰まり、排尿ができなくなることです。尿道が比較的細く湾曲している雄猫に、とりわけ飲水量が低下しやすい冬に多く発生します。また、肥満も尿閉の発症リスクを高めることが分かっています。

血尿や頻尿、粗相などの初期症状に加え、元気食欲の低下、嘔吐、辛そうに鳴くなどの症状が見られたら要注意です。排尿が完全に不可能となった場合には症状が急速に進行し、治療介入が遅れると急性腎障害により死にいたる危険性もあります。

問診や触診で尿閉が疑われた場合、直ちに尿道カテーテルや生理食塩水などを用いて尿道の詰まりを解除し、その後、血液検査にて腎障害の程度を評価します。これら緊急処置の後は通常、腎機能や膀胱機能が回復するまでの間、入院での治療が必要になります。入院期間は重症度にもよりますが、数日から10日程度となることが多いです。

一度尿閉を起こした猫ちゃんはそのままでは再発の可能性が極めて高い為、食事の変更や環境の改善など内科的な再発予防を行います。それでも再発を繰り返す、あるいはそのリスクが高い場合は外科的な再発予防手術の適応になります。

当院でも冬の訪れとともに毎年多くの尿閉猫ちゃんを診察しますが、治療する上で何よりも大切なのは「早く病院に連れてきて頂くこと」です。少しでもおかしいと思ったらまずは当院にご相談ください。

我が家にも初めての冬を迎える雄猫(左)がいるので要注意です。

獣医師 山田祥平

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