不整脈疾患(犬・猫)
不整脈とは
不整脈は、心臓の拍動リズムが異常になる状態を指します。犬や猫の心臓は本来、一定のリズムで拍動を繰り返しますが、不整脈があるとそのリズムが不規則になり、拍動が異常に遅く(徐脈)あるいは早く(頻脈)なります。
不整脈により血行動態が乱れると、脳や末梢組織への血流不足や心臓内のうっ滞が生じ、元気や食欲の低下、失神、ふらつき、呼吸困難などの症状を引き起こします。突然死の原因となることもあるため、適切な診断と治療が必要です。
主な症状
- 多くは軽症で外見上目立つ症状がないことがあります。 
- 症状があっても分かりにくく、加齢・整形疾患・神経疾患などと誤認される場合があります。 
- 進行すると、横になることが増える/元気消失/虚脱や失神(つまずき・ふらつき)/嘔吐/食欲低下などが見られます。 
- これらの症状は、不整脈の出現と消失に伴って増減します。 
原因
- 構造的心疾患(心臓の構造に異常がある病気)が背景に存在することが少なくありません。 
- 一方で、心疾患がないのに不整脈が出る場合、または不整脈が原因で構造的心疾患が起こる場合もあります。 - このパターンにより予後が大きく異なる可能性があるため、鑑別が重要です。 
 
- 心臓以外の病気が原因となることもあります。例: - 脾臓・脳の疾患(腫瘤・腫瘍など) 
- 胃捻転 
- 重度貧血(赤血球数低下) など 
 
診断
不整脈の原因特定と種類判定のため、以下の検査を行います。
- 心電図検査(ECG):心臓の電気活動を非侵襲的に記録し、波形から異常リズムの種類を評価します。 
- ホルター心電図検査:軽量小型装置を装着し、在宅で24〜72時間の長時間記録を行います。院内で発生しにくい一時的な不整脈の検出が可能です。 
- その他必要に応じて:胸部X線検査、血圧測定、血液検査、心エコー図検査 など。 
治療
- 不整脈の種類・重症度や心疾患の有無により異なります。 
- 軽度の場合は、治療不要なこともあります。 
- 重度の場合は、薬物療法(内科療法)を行います。 
- 心不全を引き起こす不整脈や致死的不整脈では、ペースメーカー埋め込みが必要となることがあります。 - 当センターではペースメーカー埋め込み術も実施しています。治療方針は主治医と相談のうえ決定します。